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(※)表記されている価格は2014年3月31日以前のものです   

ローランド、AIRAプロジェクトをいち早くチェック! (TB-3/TR-8/VT-3/SYSTEM・1)


ローランドの社内カンパニー(事業部)として、昨年2013年7月に発足した「RPGカンパニー」。その「RPGカンパニー」の第一弾プロジェクトが「AIRA」だ。今年1月中旬より、特設サイトで意味深なティザー動画が公開され、「一体どんな製品が出てくるのだろう」と心待ちにしていた読者も多いのではないだろうか。
今回、我々編集部では、そんなAIRAプロジェクトの新製品をいち早く取材することができた。紹介された製品は全部で4種類(TB-3/TR-8/VT-3/SYSTEM・1)。TB-303やTR-808、TR-909といったいわゆるダンスミュージックの定番機器を、ついに本家ローランドが本気で再現、進化させた製品だ。

TB-3/TR-8/VT-3/SYSTEM・1集合写真

ポイントとなるのは「ACB(Analog Circuit Behavior)」という技術。一般的なサウンドのモデリングとは異なり、機材の「パーツ」をモデリングすることで、アナログシンセ/リズムマシンを究極的に再現することに成功している(なんとこの「ACB」の技術は、やろうと思えばビンテージ機材特有の経年変化も再現できるのだとか)。そして、もう1点現代の音楽制作シーンを考慮して、各モデルともにUSB端子を装備。PC/Macと接続すれば、各モデルのサウンドを瞬時にDAWソフトにレコーディングすることができるのだ。
それでは、早速4つの製品について具体的に見ていくことにしよう。




TB-3オビ

TB-3コメント
TB-3正面

TB-3リア

「TB-3」は、1982年発売のベースシンセ「TB-303」を「ACB」の技術で再現、進化させたベースマシンだ。オリジナルの303をひとまわり小型にした筐体には、ボリュームやカットオフ、レゾナンス、アクセント、エフェクトといったツマミに加え、加圧式のタッチパネルを装備。アクセント、スライドを組み合わせた303特有のベースサウンドはもちろん、オリジナルの303にはなかったリード系の音色も利用できる(もちろん、アクセント/スライドを利用可能!)。ちなみに「TB-3」はA、B、C、Dという4つのバンクを持っており、それぞれ下記のような音色があらかじめプリセットされている。

A=オリジナルTB-303の「ノコギリ波/矩形波」のベースサウンド(全26種類)
B=異なるオシレーターを使ったベースサウンド(全51種類)
C=リードサウンド(全40種類)
D=FX系サウンド(全17種類)

また、オリジナルの303にはなかった機能として、「SCATTER(スキャッター)」が用意されているのもポイントだ。「SCATTER」ボタンをオンにしてパネル部分を指でなぞると、いわゆるスタッターのような効果(「ブー、ブ、ブ、ブブブブブ」といった感じで音を細切れに再生する)を表現可能。この「SCATTER」は、AIRAの4製品すべてに搭載されているのだが、まさに今のダンス/クラブミュージックシーンが求めるサウンドを具現化できるものといえるだろう。
その他、オリジナルの303との違いとして「DECAY」と「ENV MOD」のツマミが無いことが挙げられる。“ツマミが無い” と書くと消極的な意味に取られてしまいそうだが、そんなことはない。これらのパラメーター変更はタッチパネルで行なえるようになっている。モードを切り替え、タッチパネル上のX軸で「ENV MOD」、Y軸で「DECAY」を調整できる。つまり、2つのパラメーターを指1本で調整できるので、オリジナルの303では物理的に不可能だった音色変化のパフォーマンスが行なえるのだ。
価格は¥32,000前後。発売は3月を予定。


TB-3キャプション付き画像1
TB-3キャプション付き画像2

オリジナルのTB-303と比べ、縦に長く横に短くなった「TB-3」(写真左)。サイドから見てみると、少し傾斜が付いていることがわかる(写真右)



TB-3キャプション付き画像3

TB-303特有の「ACCENT(アクセント)」と「SLIDE(スライド)」は、各ステップに対してタッチパネル右上で設定できる。ちなみに「TB-3」では、32ステップ(16×2)までのフレーズを構築することが可能(ラストステップの数が自由に設定できるため、ステップ数を短くした状態でフレーズを再生することもできる)




TR-8オビ

TR-8コメント
TR-8正面

TR-8リア

「TR-8」は、1980年発売のリズムボックス「TR-808」と、その数年後に発売された「TR-909」を「ACB」の技術で再現、進化させた製品だ。「TR-8」という製品名から「TR-808だけなの?」と思った人もいるかもしれないが、中身は完全に2つのモデルのハイブリッド仕様。例えばキックは「TR-808」、スネアは「TR-909」といった具合に両者のサウンドをチョイスすることが可能だ。
ポイントはこちらも「ACB」の技術。担当者いわく「TR-8はオリジナルの909のように、スネアとハンドクラップのレベルを両方上げるとフェイジングを起すんです。楽器としてはまずいんですが、こういったところもオリジナルと完全に同じにしています」とのこと。この言葉からもいかに本家とそっくりであるかが窺える。

また、オリジナルにはない機能として「ステップ単位でエフェクトがかけられる」というものがある。「TR-8」の上部に「REVERB(リバーブ)」と「DELAY(ディレイ)」が用意されており、例えば、2拍、4拍に入力した4拍目のスネアだけにリバーブをかけたり、リムショットの一部分だけにディレイをかけるなんてことも可能。レベルやタイム、フィードバックなどをリアルタイムに操作すれば、それだけで強力なパフォーマンスを生み出せる。

その他、TR-808にはなく、TR-909では段階的に設定できた「SHUFFLE(シャッフル)」もリニア(ツマミで自由に)に調整可能。各ステップを瞬時にミュートしたり、リズムをロールさせたり、本体右上部の「SCATTER」でフレーズをダイナミックに変化させられるのもポイントだ。さらに「EXTERNAL IN」を通して、外部音源(例えば、Native INstruments「TRAKTOR」などのDJソフトを併用)を本体と同期しながらプレイする、なんてことにも対応。USB経由でPC/Macと接続すれば、DAWソフトにキック、スネア、クラップなどをパラアウトした状態でレコーディングできる点も見逃せない。
価格は¥52,000前後。発売は3月を予定。


TR-8キャプション付き画像1

「TR-8」はTR-808とTR-909のオリジナルのキックだけではなく、いわゆる「マイアミベース」で聴かれるTR-808を改造したキックの音(ボーン、ブーンというベースのようなキック音)も「ACB」技術で再現されている。キックの音は「TR-808」「TR-909」「マイアミベース系のTR808」の3種類から選択可能だ

TR-8キャプション付き画像4

REXTERNAL IN」を活用すれば、DJソフトと共に「TR-8(TB-3なども同期可能)」を使用することができる。今後、音楽制作だけでなく、ライブパフォーマンスに「AIRA」製品を使うアーティストも生まれてきそうだ



TR-8キャプション付き画像2
TR-8キャプション付き画像3

REVERBやDELAYの「STEP」ボタンをオン/オフすれば、キックやスネア、ハットなど、希望の音色にピンポイントでエフェクトをかけることができる(写真左)。また「SCATTER」をオンにしてダイアルを回すと、リアルタイムにフレーズを変化させられる(写真右)



VT-3オビ
VT-3コメント
VT-3正面

VT-3リア

「VOICE TRANSFORMER」と名付けられた「VT-3」は、その名の通り“声”に特化したエフェクトマシンだ。オートチューンで有名な通称「ケロケロボイス」を始め、ヒップホップ系の定番「メガホンボイス」、自分の声でテルミンのようなシンセ音が出せるプリセットなど、下記の10種類のタイプが用意されている。
・AUTO PITCH 1(オートチューン系タイプ1)
・AUTO PITCH 2(オートチューン系タイプ2)
・VOCODER(ボコーダー)
・SYNTH(シンセ)
・LEAD(リード)
・BASS(ベース)
・MEGA-PHONE(メガホンボイス)
・RADIO(ラジオボイス)
・SCATTER(スキャッター)
・DIRECT(ダイレクト)

なお、「VT-3」にはプリセットとは別に、ピッチ変更用の「PITCH」、フォルマント調整用の「FORMANT」、エフェクト量を調整する「MIX BALANCE」、リバーブ量を調整する「REVERB」のスライダーが用意されており、これらもかなり強力だ。とくに「SCATTER」の効きは驚くべきもので、これだけでも「VT-3」をチェックする価値があると思う。
価格は¥22,000前後。発売は3月を予定。



VT-3キャプション付き画像1

「VT-3」はマイクをつないで声を出せば、すぐに音が出るのがポイント。「VOCODER(ボコーダー)」を選んでも、別途キーボードでコードを押す必要はない。また、上部には「MANUAL」と「1」「2」「3」というスイッチが用意されており、自分好みのセットアップを瞬時に呼び出して利用することができる




System-1オビ
System-1コメント
System-1正面

System-1リア

ARIAシリーズの中で、唯一6月に発売される予定の「SYSTEM・1」。こちらのシンセは今までのコンセプトにはない「着せ替え型のシンセ」だ。本体にあらかじめ搭載されている「SYSTEM・1」の音色以外に、6月以降にリリース予定のライブラリ(最初に「SH-101」のライブラリがダウンロード販売される見込み)を読み込むことで、本体をまったく別のシンセとして扱えるのが特徴。
ちなみに、複数のライブラリをダウンロードしても本体で利用できるのは1種類のみということだが、ローランド歴代の名機を「SYSTEM・1」という1つの筐体で切り換えて使えるメリットは大きい。というか、シンセファンにとっては、まさに夢のようなマシンといえるだろう。いずれにしても、「ACB」の技術によって現状手に入りにくいアナログシンセの音が身近になることは間違いなさそうだ。
価格は¥60,000前後。発売は6月を予定。



System-1キャプション付き画像1

「SYSTEM・1」の音とライブラリの音は、本体の「MODEL」と書かれたエリアで切り換える仕組みだ。「PLUG-OUT」を押すと、ライブラリの音を鳴らすことができる




AIRAシリーズまとめオビ


「AIRA」プロジェクトの製品は、同社のビンテージマシンを焼き直すだけではなく、現在/未来の新たな可能性を秘めたツールだと思う。ダンスミュージックの世界では、TR-808、TR-909、TB-303は三種の神器とも呼ばれるアイテム。そんなアイテムだからこそ、世界中に愛好家(というか信者に近い)もいるし、プラグインも含めて今までいくつもカバー商品が存在しているのも事実だ。しかし、今回ARIAプロジェクトの製品を見て、やはり本家は違うと確信した。これらの4機種は文句なしに良いと思う。


AIRAシリーズ特設サイト

おわり