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PCオーディオ体験記

第4話 音楽配信サイト「e-onkyo music」の担当者を直撃!

音楽配信サイトと言えば、「iTunes Music Store」や「mora」、「amazon」といったところが有名ですが、これらのサイトはいずれも圧縮されたオーディオファイルを中心に取り扱っているのが現状です。連載第4話となる今回は、そんな中で高音質なハイレゾ音源に特化して人気を集める音楽配信サイト「e-onkyo music」の担当者を直撃。ハイレゾ音源の種類やオーディオファイル形式の違いなど、PCオーディオファンはもちろん、普段、音楽制作をしている人もためになる話を聞くことができました。

ハイレゾ音源の容量はCDのおよそ3倍〜8倍。これが音質の違いに表われる!

編集部:まず始めにハイレゾ音源の定義から教えてください。

e-onkyo music(以下:e):ハイレゾとは「High Resolution」の略で、日本語だと「高解像」という意味になります。具体的に言えば、CDよりも音質が上回る解像度でレコーディングしたデータのことです。映像で例えるなら、ハイレゾ音源はCDよりも「色が鮮明に見える」、「映像の奥行き感が増す」といったところでしょうか。

編集部:ハイレゾ音源とCDでは具体的にどのくらい違いがあるのでしょうか?

e:例えば、下記の比較表を見てください。オーディオをデジタルデータに変換する際には、「種類(方式)」「量子化ビット数」「サンプリング周波数」というものが重要になりますが、PCM方式の24ビット/96kHzのオーディオファイルはCDの約3.3倍、同じくPCM方式の24ビット/192kHzの音では6.5倍ものデータ容量差が生まれます。また、DSD形式の1ビットオーディオではCDとは4〜8倍の容量差が出ます。この容量差が、まさしくCDとハイレゾ音源の違いといってもいいかもしれません。

ハイレゾ音源の種類とCDとの違い

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編集部:PCM方式には「WAV」や「flac」といったファイル形式の違いもありますよね?

e:そうですね。順番に説明していくと「WAV(ワヴ)」や「AIFF(エーアイエフエフ)」はPCM方式のフォーマットのひとつで、非圧縮なのでファイルサイズが大きいのが特徴です。それに対して、「flac(フラック)」は可逆音声フォーマットといって、ダウンロード時は圧縮されているのですが、再生時にデータをリアルタイムで展開して元の状態に戻しつつ再生する仕組みです。ただし、再生時のデータは圧縮されたままの容量なので、WAVの約半分のサイズでダウンロード可能です。弊社のサイトでも、同じ曲を「WAV」と「flac」の両方のファイル形式で用意しています。

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編集部:「WAV」と「flac」で音質に差はないんでしょうかね?

e:理論上は劣化がないと言えます。ただし「WAV」は、レコーディングスタジオで録られたそのままの状態(オーディオファイル)であるのに対し、「flac」の場合は「WAV」を「flac」形式に変換するコーデック作業を行なっています。コーデック作業ではファイルの圧縮に加え、楽曲のタイトル、アーティストなどのメタデータ、ジャケット写真などをファイル内に埋め込んでいます。そういった意味で言えば、録音時とまったく同じデータではありません。ハードディスクの空き容量を気にされる方は「flac」をチョイスされるといいと思います。

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こちらは、The Doors「The Soft Parade」(flac形式 96kHz/24ビット)とオールマン・ブラザーズ・バンド「フィルモア・イースト・ライヴ」(WAV形式 192kHz/24ビット)の楽曲リストの一部。WAV形式の方が明らかにファイルの容量が大きいことがわかる

編集部:その他に「DSF(DSD)」という形式もありますよね?

e:はい。DSD方式はPCM方式と異なり、音声信号の大小を1ビットのデジタルパルスの密度(濃淡)で表現するという方式です。DSD方式のファイル形式には「DSDIFF(Direct Stream Digital Interchange File Format)」や「DSF(DSD Stream File)」があり、いずれもKORGのアプリケーションソフト「AudioGate(無料)」や同社のMRシリーズなどで再生できます。また、DSFファイルは「DSDディスク」に焼くことで一部のスーパーオーディオCDプレーヤー、プレイステーション3などでも再生できますし、DSFファイルのままで再生できるいわゆるオーディオ機器も、ここのところオンキヨーをはじめとして各社から発売されています。

編集部:「e-onkyo music」では、現在何曲のハイレゾ音源を登録/販売されているのですか?

e:「WAV」と「flac」の楽曲が約18,500曲、「DSD」が約1500曲のトータル2万曲ですね。ジャンル的にはクラシックやジャズが中心ですが、ロックやポップなどのラインナップも増やしている最中です。

編集部:ファイル形式によってサウンドの違いはあるのでしょうか?

e:「WAV」や「flac」といったPCM方式のオーディオファイルは、音の粒子が固く、芯があって腰が強い。イメージ的にはガツンとくるロック向きで、一方で「DSD」は音の粒子が丸い感じで、滑らかでマイルド。透明感や奥行きが出やすく、ピアノやクラシック向きだとおっしゃる方もいらっしゃいますね。

編集部:現在、「e-onkyo music」で特に人気の楽曲と言えば?

e:洋楽ではThe Eagles「Hotel California」やThe Bill Evans Trio「Waltz For Debby」。邦楽では日本プロ音楽録音賞「最優秀賞」を受賞したSHANTI「ROMANCE WITH ME」や上原ひろみさん「MOVE」、クラムボン「LOVER ALBUM 2」。クラシックではベルリン・フィルハーモニー管弦楽団「ドヴォルザーク交響曲第9番 新世界より」が人気ですね。やはり、オーディオファンがもともと好きだった曲が上位にきていると思います。

編集部:「e-onkyo music」に登録している楽曲は、すべてDRMフリーなんですよね?

e:はい。弊社では2005年8月に配信サービスを開始して、2010年6月まではすべての曲にDRMが付いていました。しかし、弊社で採用していたDRMはWindows Media DRMというもので、Windowsでしか再生できなかったりと不便が多く、また、2009年頃から徐々にMacによるプレイヤーの人気も出てきたことや、ネットワークオーディオプレーヤーが市場に出回ってきたこともあり、2010年7月から一部の曲をDRMフリーにしました。そして、2013年5月からはすべての曲のDRMをフリーにしています。

編集部:今後はどのような楽曲を増やしていく予定ですか?

e:DRMなどの問題もあって、すべての新曲をハイレゾ音源化するは難しいと思いますが、マスターテープが残っていそうな昔の名曲はすべてハイレゾ音源化していきたいですね。国内外問わず、レコード会社やレーベルに打診していますので、うまくまとまれば皆さんに届けられると思います。

NEXT 第5話 USBケーブルで音が激変!? アコースティックリバイブを直撃! に続く

【PCオーディオ体験記・目次】
  • 第1話 mp3やCDでは味わえない本物の音を聴こう!
  • 第2話 RME「Babyface」が人気の理由!
  • 第3話 プリソーナス「StudioOne」を試す!
  • 第4話 音楽配信サイト「e-onkyo music」の担当者を直撃!
  • 第5話 USBケーブルで音が激変!?アコースティックリヴァイブを直撃
  • 第6話 IKマルチメディア「T-Racks」でロックな迫力をゲット!
  • 第7話 音が良いと評判のZOOM「TAC-2」をチェック!