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PCオーディオ体験記

第7話 PCオーディオ体験記|第6話 音が良いと評判の新製品、ZOOM「TAC-2」をチェック!

体験記7話目となる今回は、オーディオ専門誌などでも絶賛されているZOOM「TAC-2」を試してみたいと思います。結論から言いますが、このインターフェイスかなり良かったですよ。ZOOMと言えば、楽器メーカーとしてレコーダーやエフェクターなど、数多くの名機を生み出してきた世界的に有名な企業でもありますが、そのZOOMがなぜPCオーディオの市場に参入したのか? ページ後半には、ZOOMの飯島社長とエンジニアの河野氏にもご登場頂き、製品開発に対する熱い思いを語っていただきました。音にこだわるMacユーザーは必見です!

「音を構えて聴いてほしい」という気持ちから生まれたインターフェイス

TAC2イメージ

 今まで、この連載企画では誰もが認めるPCオーディオ界の人気インターフェイス、RME「Babyface」を使って試聴を行なってきました。我々はZOOM「TAC-2」をチェックする前に、まず始めに「Babyfaceと比べてどうなのかな?」という意識がありました。ちなみに、Babyfaceは同社のオンラインストアで8万2,000円(税込)、TAC-2はメーカー希望小売価格4万1,040円(税込)。Babyfaceはオーディオの入出力が10イン/10アウト、TAC-2は2イン/2アウトとは言え、値段で比べると相当な開きがあるわけです。

TAC2イメージ

←こちらが今回試奏したZOOM「TAC-2」。最高192kHz/24ビットのハイレゾ音源の再生/録音が行なえるオーディオインターフェイスだ

■試奏システム ※詳しいセットアップ図は連載第1話に掲載


  • ・【再生パソコン】MacBook Pro 13インチ  ・【再生ソフト】プリソーナス「Studio One」
  • ・【DAC】ZOOM「TAC-2」
  • ・【周辺機器】アコースティックリヴァイブ「PHONE〜RCA-1.0PA」(オーディオケーブル)
  • ・【プリアンプ】McIntosh「C46」  ・【パワーアンプ】Ex・pro「375」(2台)


 まず、1曲目に聴いたのはオールマン・ブラザーズ・バンド「Statesboro Blues」(ファイル形式=96kHz/24ビット WAV)です。今回、いつでもRME「Babyface」と比較ができるように、「Studio One(再生ソフト)」で曲の一部をループ再生しておき、プリアンプで「TAC-2」と「Babyface」をすぐに切り換えられるようにしておきました。試奏メンバーは弊社社長と編集スタッフ2名だったのですが、試聴を開始した瞬間に「TAC-2の方が中低域がいい感じで出ているな」と、皆同じ感想を持ちました。イントロのバスドラムは立体感のある音で、ギターの輪郭もハッキリしています。Babyfaceと比べると、「TAC-2は低域がふくよかで気持ちいい!」といったイメージです。

 続いて、ノラ・ジョーンズのグラミー賞受賞アルバム「Come Away With Me」から「Don't Know Why」(ファイル形式=192kHz/24ビット)を聴いてみました。ボーカルが印象的なこの曲ですが、冒頭の「I waited till」の「waited」という声を張り上げる部分でいきなり違いが出ました。「Babyface」が高域が目立つのに対し、 TAC-2はナチュラルで落ち着いた感じです。特にこの曲に関しては、TAC-2の方が曲の雰囲気をうまく引き立てているなという印象です(夜、ソファーに座りながらゆったりと聴きたくなる感じとでもいいましょうか)。

 その他にも、ハイレゾ音声ファイルではなく「Don't Know Why」のCDを聴いてみたり、いくつかの楽曲を試聴してみましたが、やはり双方のインターフェイスで微妙な音の違いを感じました。しかし、それは非常にハイレベルな争いで、もはや「音が良い」のは当然のごとく、聴く音楽によってインターフェイスを選びたくなる感じです。いずれにしても、操作性やコストパフォーマンスなど、様々な面を考えて「TAC-2」は素晴らしい製品だと実感しました。今回、クラシック系の楽曲ではなく、相変わらず弊社社長の大好きなロックやポップスをメインに試聴しましたが、やはり楽器メーカーが作る製品はひと味違いましたね。「TAC-2」を使うと音楽が楽しく聴こえます。


視聴環境


アコースティックリヴァイブ・ケーブル

今回の試奏では、アコースティックリヴァイブ製のケーブルを利用しました。市販の安価なケーブルも試したのですが、やはり明らかに音が変わります。「TAC-2」の性能を最大限活かすには、ケーブルにもこだわることをオススメします。



ZOOM 飯島社長/河野氏インタビュー

「TAC-2」の試奏を終え、我々はZOOMの飯島社長と開発トップの河野氏にお会いする機会を得ました。そして「なぜ、TAC-2の音が良いのか?」という秘密に迫るべく、技術的な部分や開発コンセプトなどについて質問させてもらいました。まずは、誰もが抱く素朴な疑問からスタートです。


編集部:多くのインターフェイスがUSB接続ですが、「TAC-2」はなぜThunderbolt接続なのでしょうか?

飯島社長:それは「スピード」と「電力」という2つのメリットがあるからです。Thunderboltは、信号の転送速度が非常に速くて、レイテンシー(発音の遅れ)がほとんどありません。これが音の安定感につながっています。また、インターフェイスに限った話ではありませんが、我々の作る製品は使用できる電力が重要になってきます。Thunderboltは10W/18Vものパワフルなバスパワー電源を利用することができ、とても品質の良いA/DコンバーターやD/Aコンバーター、プリアンプなどが使用できます。

Thunderbolt転送スピード グラフ

図でもわかるようにThunderboltは、USB3.0の2倍、Fireface800の12倍、USB2.0の20倍もの転送速度を誇る

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10W/18Vのバスパワーが供給できるThunderboltだが、河野氏によると「実はThunderboltの両端には2つのチップがあって、そこで約2Wほどの電力が消費されます。でも、残り8W使えるアドバンテージは相当なものですよ」とのこと。いずれにしてもこの「豊富な電力」が音の良さを左右するD/Aコンバーターなどに使われているのだ


編集部:具体的にはどのようなパーツ(チップ)を
採用しているのでしょうか?

河野:A/Dコンバーターはバーブラウン製の「PCM4202」、D/Aコンバーターに旭化成マイクロシステムズ「AK4396」、プリアンプにバーブラウン「PGA2505」を搭載しています。どのチップを採用するかで、最終的な出音が変わってきますので、何度も試聴を繰り返しました。

編集部:どのように音を決めていったのですか?

河野:まずは音を再生するときの肝となるD/Aコンバーターからですが、レコーディングエンジニアさんにもご協力頂き「ボーカルのブレスがキレイに聴こえるか?」「ギターの分離は良いか?」など、たくさんの項目を皆でチェックしていきました。スピーカーもJBL、タンノイ、ジェネレックと複数試しましたね。D/Aコンバーターが決まると、今度は実際にギターやドラムを録音しながらA/Dコンバーターを決めていきます。

飯島社長:我々は楽器メーカーですから音楽がどのように聴こえるかを最優先しています。サウンドをチェックするときは計測器も使いますが、ボーカルの艶、ドラムの迫力、リバーブの残響感など、具体的に耳でチェックしていきます。ちなみに「TAC-2」付属の専用ソフト「TAC-2 MixEfx」のリバーブも同様です。こちらに関しては、ジャリジャリしないようなリバーブの響きを評価の聴き所にしました。

編集部:私たちも今回「TAC-2」の製品の良さを実感しましたが、そもそも御社はなぜPCオーディオの世界に参入しようと思ったのですか?

飯島社長:いい質問ですね。私としてはメーカーとして「リスナーに音を構えて聴いてほしい」という気持ちがあります。私もそうですが、最近では「ネットを見ながらmp3を聴く」、「携帯を見ながらmp3を聴く」といったように「〜〜しながら音楽を聴く」という傾向が強いですよね。でも、音楽を作っている側のこだわりをもっと実感できる環境が作れたらと思っているんです。実は先日、レコードを整理することがあって、じっくりと昔の音楽を聴き直してみました。そして、あらためて圧縮音源とは違う魅力に気付かされました。そういう良い音楽を届ける世界に我々も参入したいと思ったわけです。


編集部:なるほど。それでは最後に今後発売が予定されている新製品について教えてください

飯島社長:すでに海外のトレードショウでは発表していますが、「UAC-2」というインターフェイスを発売予定です。こちらはThunderboltではなく、USB3.0接続タイプです。「TAC-2」はMacユーザーがターゲットでしたが、「UAC-2」によってWindowsユーザーの方にも弊社のインターフェイスを使っていただける環境が整います。端子やケーブルの形状は違いますが、サウンド面での性能は同じになっています。楽しみにしていてください。

飯島氏

「音楽を作っている側のこだわりをもっと実感できる環境を作りたい」と語る飯島雅宏氏(ZOOM社長)

ミキシングソフト「TAC-2 MixEfx」

こちらが「TAC-2」付属のミキシングソフト「TAC-2 MixEfx」。PCオーディオの入門者(普段ミキサーソフトを使っていない人)でも扱いやすいように、オーディオ信号の流れを「矢印」で表示するなど、非常に親切な設計になっている


河野氏

今回の取材で「TAC-2」の技術的な面をお話いただいた河野達哉氏


「UAC-2」試作筐体

こちらが年末に発売が予定されている「UAC-2」。ホームレコーディングにも最適なハーフラックサイズだ

問い合わせ先
TAC2製品情報詳細ページ
http://www.zoom.co.jp/products/tac-2
ZOOM(株式会社ズーム)
http://www.zoom.co.jp/
関口機械販売株式会社/アコースティックリバイブ
http://www.acoustic-revive.com/
【PCオーディオ体験記・目次】
  • 第1話 mp3やCDでは味わえない本物の音を聴こう!
  • 第2話 RME「Babyface」が人気の理由!
  • 第3話 プリソーナス「StudioOne」を試す!
  • 第4話 音楽配信サイト「e-onkyo music」の担当者を直撃!
  • 第5話 USBケーブルで音が激変!?アコースティックリヴァイブを直撃
  • 第6話 IKマルチメディア「T-Racks」でロックな迫力をゲット!
  • 第7話 音が良いと評判のZOOM「TAC-2」をチェック!